これからの調剤薬局はどうなる-消費税8%時代を迎えて(1)

診療報酬改定で消費税増税分の引き上げはあったが・・・

_FAV8994_213-318消費税率が8%となり、その影響は保険医療機関全般にも及んでいます。とりわけ、地方の調剤薬局にもさまざまな影響を与えています。

大きな影響の一つは、病院、クリニックなどの医療機関が院外処方に切り替える動きが盛んなことです。

2014年度診療報酬改定では、消費税率8%に対し、病院、クリニックなどの消費税増税分として、初診料、再診料、入院基本料などの点数が引き上げられました。それで増税分で増える金銭的負担をまかなえ、とのことです。

そもそも、保険診療報酬と薬価には消費税はかかりません。つまり、患者さんが消費税を払わなくてもいい仕組みになっています。では、消費税分はだれが負担するのか。それは、病院、クリニックなどの医療機関(調剤薬局も同様)です。

先にも申しましたが、消費税増税分の金銭的な負担を減らすため、病院、クリニックなどは、今回の診療報酬改定で、初診料、再診料、入院基本料などの点数を引き上げられました。

これは調剤薬局も同じで、今回の診療報酬改定では、調剤基本料が増税対応分で、プラス1点の41点、一包化加算(56日分以下)がプラス2点の32点となりました。

2012年秋から院外処方せんに切り替える動きが

病院、クリニックが院外処方せんに切り替える動きは、実は消費税率3%アップが見え始めた2012年秋ごろからありました。動きの背景にあったのは、社会保障費増大の流れの中、今回の診療報酬改定で、消費税増税に伴う診療報酬上乗せが未定だったこと。もう一つは、薬価には薬の仕入れに消費税がかかるが、患者さんからは増税分も含め消費税がいただけない。そのため、増税で、薬価差益(薬を患者さんに出すことによる利益)が減少し、薬を院内処方で出しても、在庫管理などの負担が増えるばかりで手間だ、との見通しがありました。

もともと、病院、クリニックの薬価差益は数%です。そこに増税分が組み込まれれば、差益そのものがさらに低くなります。今回の診療報酬改定では、保険診療報酬は増税分の引き上げがありましたが、薬剤部門のみで見た場合、薬価差益がますます低くなるというのは、負担増に過ぎません。

この流れの中で、院外処方にする病院、クリニックが急増、それに伴い、門前の調剤薬局の数も増加するという現象が起きています。

調剤薬局が増えるということは、実は調剤薬局会社の淘汰や、大きな会社に小さな会社が飲み込まれるというM&Aの動きが、今後一層盛んになるということです。

このことは、調剤薬局での仕事をお探し中の薬剤師さんにとっても、給与や待遇面で影響があるかも知れず、知っておくべきことかもしれません。

これからの調剤薬局はどうなる-消費税8%時代を迎えて(2)に続きます。

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